1995(平成7)年4月1日に県立聴覚障害者センターがオープンしてから20年が経ちました。2015(平成27)年2月11日、第13回手話フェスティバルと同時に創立20周年記念式典を開催し、300名を超える参加者が20年に渡るセンターの歩みを大いに祝いました。
県立聴覚障害者センター創立20周年記念宣言文
平成18年12月13日に国連総会で「障害者の権利条約」が採択され、わが国でも平成25年12月4日参議院本会議で裁決となり、所定の手続きを踏まえ、平成26年2月19日から正式発効となりました。今後、障害者施策は、この障害者権利条約に示された理念や条項に沿って推進されていくことが期待されます。意義あるこの年に、宮崎県立聴覚障害者センターが創立20周年を迎えました。県内の聴覚障害者の社会参加と自立の支援を目的とした県立聴覚障害者センターは、平成7年に開設されました。当時の松形祐堯知事を始め、県関係部・課の関係者の皆さんが、社団法人宮崎県聴覚障害者協会の要望に応えて実現したもので全国でも九番目の早い実現でした。この経過の中で特筆されるのは、「福祉の受益者」であった聴覚障害者が「福祉の担い手」として県立聴覚障害者センターの運営を行うことになったことです。
私たちは、当時の「社団法人宮崎県聴覚障害者協会」を「社会福祉法人宮崎県聴覚障害者協会」に改組の方向で県当局と交渉を行い、全面的な支援をえて県立聴覚障害者センターの運営権を手にしました。この方向は、全国でも初めてのことであり、当時の県当局の英断が賞賛されます。従って、私たちは、県立聴覚障害者センターを「利用者の立場に立った運営を基本理念」として、聴覚障害者の社会生活、経済、医療、教育、職業などのあらゆる分野における「情報・コミュニケーション」の支援策を講じてまいりました。
第一期といえる平成7年から平成16年の10年間では、聴覚障害問題の社会的啓発を進め、聴覚障害者が自らの障害を恥じず、手話により、人間としての尊厳性を持ってあらゆる分野へ進出していく方向で支援できたと評価しています。
また、天皇・皇后両陛下、皇太子ご夫妻、紀宮様の連続したご視察があり、県民の皆さんに注目され、センターや聴覚障害問題が公私にわたって認識を深める結果となりました。
このような経過を経て、平成16年10月17日に「県立聴覚障害者センター創立10周年記念式典・祝賀会」をセンターで挙行しました。
第二期の平成17年~26年の中で特筆すべきことは、平成18年に「指定管理者」制度が始まり、当センターもその対象になったことです。「指定管理者」は入札制で、運営、事業、利用の公平性などが問われ、審査会によって指定管理者が決定します。当センターは、最初の申請に合格し1期3年の「指定管理者」の指定を受けることができ、現在、3期9年を経過し、4期目の立候補を行っています。指定管理者に指定されるには、任期3年ごとの実績を上回る運営努力が必須であり、そのために「センター利用の満足度調査」を行うなど、センター利用者のニーズに沿った運営を心懸け、設備面でも平成24年3月にセンター内に待望の「電光掲示板」が設置されるなどの発展があり、2期目の20年を発展的に運営することができました。
課題として残るのは、県立聴覚障害者センターは、県内全域を対象とするセンターであり、地方の聴覚障害者の情報・コミュニケーション保障に対応していかねばならないのですが、そのための地方分室の設置が望まれています。
予算、制度的な制約などからまだ実現していませんが、今後は、国連・障害者権利条約によって手話が言語として定義されましたし、手話言語法制定や差別解消法制定の動きが全国的なものになり、政府、地方自治体も「障害者に対する新しい対応策」が検討されていますので、このような変化に期待して今後を目ざしていくことを宣言します。
平成27年2月11日 県立聴覚障害者センター創立20周年記念式典参加者一同
県立聴覚障害者センター 20年のあゆみ
年月日 | できごと |
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1995年(平成7年) | |
1月 6日 | 社会福祉法人設立申請書を県に提出 |
2月16日 | 社会福祉法人認可書を受ける |
2月17日 | 社会福祉法人宮崎県聴覚障害者協会を法務局に登録 |
3月19日 | 社会福祉法人宮崎県聴覚障害者協会・第1回理事会を開催(施設長人事、評議員選任方法等を決定) |
4月 1日 | 宮崎県立聴覚障害者センターがオープン |
4月16日 | 第13回社団法人宮崎県聴覚障害者協会総会を開催(社団法人の解散と財産の社会福祉法人寄付) |
5月18日 | 宮崎県生活情報センター落成式挙行(県立聴覚障害者センター・県立視覚障害者センター・消費生活センターが入居する施設の総称) |
7月 9日 | 県知事選の政見放送画面に手話通訳を入れたビデオを作成(宮崎県立聴覚障害者センタースタジオにおける最初の制作) |
7月23日 | 県立聴覚障害者センターオープン記念式・祝賀会を開催 |
11月11日 | 天皇・皇后両陛下が県立聴覚障害者センターにご来所 |
1996年(平成8年) | |
4月 1日 | 宮崎市が手話ビデオ作製事業・聴覚コミュニケーション支援事業を実施(県協会委託) |
5月 4日 | 第45回全九州ろうあ者大会を主管開催(3~5日・体育大会併催) |
9月 1日 | 宮崎市広報・手話ビデオ版がスタート |
9月30日 | 聴覚コミュニケーション支援事業により宮崎市の病院・銀行・デパートで手話指導を開始 |
1997年(平成9年) | |
2月21日 | カルチャープラザ延岡(図書館)に聴覚障害者用ビデオ貸出しコーナーが設置される(県立聴覚障害者センターのビデオテープを貸出し) |
3月 1日 | 県聴障協ニュースをA4版に変更 |
3月23日 | アジアろう者友好基金街頭カンパを県内14か所で実施 |
4月 1日 | 要約筆記奉仕員派遣事業が開始される |
5月20日 | 寄付金付きお年玉郵便葉書等寄付金配分事業により公用車の配分を受ける |
7月 1日 | 都城市ボランティアセンターに聴覚障害者用ビデオライブラリーコーナーが設置される(県立聴覚障害者センターのビデオテープを貸出し) |
7月27日 | 「手話・サマーフェスティバル」を県立聴覚障害者センターで開催 |
8月17日 | 初の成人ろう者、ろう学校教師、ろう・難聴児を持つ親の会、手話関係者による「ろう教育労働問題研修交流会」を開催 |
12月9日 | 日向市が図書館内に聴覚障害者ビデオライブラリーを開設 |
1998年(平成10年) | |
3月 1日 | 長寿医療事業団からの助成を受けた「ろうあ者問題の啓発ビデオ・聴覚障害者の理解のために」が完成 |
3月19日 | 財団法人日本公衆電話会宮崎県支部から645,000円の寄付を受ける |
4月 | 県立聴覚障害者センタースタジオに、全日本ろうあ連盟貸与による新字幕制作機器が配備される |
7月12日 | 参議院選挙政見ビデオを見る会を県内27か所で実施 |
8月21日 | 第31回全国手話通訳問題研究集会を主管開催(21~23日、全国から1,700人参加) |
10月25日 | 障害者を差別する法令の改正を目指す宮崎県対策本部が発足 |
11月 1日 | 第1回ろう・難聴教育フォーラムを開催 |
12月 1日 | 聴覚コミュニケーション事業(宮崎市委託事業)が「NHKみんなの手話」で全国に紹介される |
1999年(平成11年) | |
1月 1日 | みやざき聴障協ニュースが200号を達成 |
2月21日 | 差別法令改正を目指す県内一斉街頭カンパを実施(最終実績・署名19,352人、カンパ額1,008,061円) |
4月 | 県内の手話奉仕員養成事業を新カリキュラムで実施 |
6月 1日 | 宮崎市手話通訳者派遣事業がスタート(県協会実施) |
6月 | 新カリキュラムによる手話通訳者養成事業を実施(初年度、宮崎・都城・日向・延岡地区で実施) |
6月18日 | 県議会定例議会・本会議で「欠格条項の早期改正を求める意見書の提出を求める請願」が採択される |
6月24日 | 第7回全国聴覚障害者情報提供施設協議会総会を主管開催 |
9月 | 協会創立50周年記念事業として、4班に分かれ県内主要市町村要望訪問キャラバンを実施(26市町を訪問、19町村に文書要望) |
10月17日 | 県協会創立50周年記念誌「50年のあゆみ」発刊 |
県協会創立50周年記念式典・祝賀会を挙行 | |
10月23日 | 清子内親王(紀宮)殿下がセンター視察にご来所 |
2000年(平成12年) | |
7月23日 | センター主催の手話フェスティバルを開催 |
9月 1日 | 宮崎銀行依頼の「やさしい手話対応ビデオ」が完成 |
9月14日 | 手話による窓口サービスの取り組みを評価し、宮崎銀行に感謝状を贈呈 |
10月 1日 | 宮崎郡清武町総合福祉センターに聴覚障害者ビデオライブラリーを開設 |
2001年(平成13年) | |
1月 | 県生活環境部同和対策課の依頼を受け、「人権教育のための国連10年」宮崎県行動計画に関する啓発ビデオに手話・字幕導入を行う |
2月15日 | 宮崎市立西池小学校2年生146人がセンター見学に来所 |
3月 1日 | 社会福祉法人宮崎県聴覚障害者協会・県立聴覚障害者センターのEメールアドレスを整備(全職員のパソコン・インターネット対応を実施) |
4月 1日 | 県委託の県庁職員手話教室開催事業がスタート |
4月 | お年玉付き郵便葉書の寄付金により、ノートパソコン・液晶プロジェクター購入費985,000円の配分を受ける |
8月 2日 | 社会福祉法人宮崎県聴覚障害者協会・県立聴覚障害者センターのホームページが完成 |
2002年(平成14年) | |
4月 1日 | 「苦情申出窓口」として第三者委員を設置 |
4月 | 字幕ボランティアの協力を受け「九州遺産」に字幕を挿入して、聴覚障害者情報文化センターに納入 |
7月11日 | 皇太子ご夫妻が県立聴覚障害者センター視察にご来所 |
10月27日 | 県立聴覚障害者センター主催のパソコン教室を開催(10/27、11/3、11/24の3回開講) |
2003年(平成15年) | |
4月 1日 | 県委託事業に盲ろう者通訳・ガイドヘルパー養成事業が追加(初年度予算1,093,000円) |
5月17日 | 第40回全九州ろうあ者スポーツ大会を主管開催(延岡市・17~18日) |
8月 1日 | 宮崎県警察メール110番がスタート |
9月25日 | 県立聴覚障害者センター主催による耳の聞こえにくい方のための手話講習会を開催(全12回コース) |
11月 9日 | 宮崎公立大学体育館で「手話・スポーツフェスタ」を開催 |
2004年(平成16年) | |
2月 | 全国手話研修センター・宮崎県カンパが終了(総額855,015円を納金) |
2月21日 | 第7回全国要約筆記問題研修会九州ブロック研修会が宮崎市で開催される(21~22日・ホテルプラザ宮崎) |
4月 1日 | 宮崎市が宮崎ケーブルテレビで「市広報」の放送を開始し、手話通訳が導入される |
10月17日 | 宮崎県立聴覚障害者センター創立10周年記念式典・祝賀会を開催 |
2005年(平成17年) | |
1月16日 | 県協会青年部創立30周年記念式典を開催 |
6月19日 | 障害者自立支援法案対策宮崎県本部が結成 |
7月2日 | 第36回九州ろうあ青年研究討論会を主管開催(2~3日) |
9月6日 | 台風14号が宮崎県を直撃、会員にも大きな被害が出る |
10月25日 | 国際交流事業団(JICA)主催による「ろう者のための指導者コース」研修事業でメキシコなどから8名のろう者が来県(25~30日) |
2006年(平成18年) | |
2月4日 | 宮崎要約筆記サークル「ゆうゆう」創立10周年記念式典を開催 |
4月1日 | 地方自治法の一部改正により、県立聴覚障害者センターが指定管理者制度に移行 |
5月10日 | 年賀寄付金配分から「DVD制作器付ノン・リニア編集システム」導入のための補助が認められ、スタジオ整備を一新 |
9月17日 | 延岡市で竜巻が発生、ろう者夫婦の家屋被害を含めて大きな被害が出る |
10月31日 | 第40回全国ろうあ青年研究討論会&第3回アジア太平洋地域青年キャンプ(APキャンプ)を主管開催 |
2007年(平成19年) | |
5月1日 | みやざき聴障協ニュースが300号を達成 |
9月7日 | 第56回全九州ろうあ者大会&第35回全九州手話通訳者研修会の主管開催(7~9日) |
10月8日 | センター主催の「手話・スポーツフェスタ」を宮崎公立大学体育館で開催 |
2008年(平成20年) | |
3月 7日 | 宮崎字幕サークルの協力を受け、新九州遺産「耳川紀行」に字幕を挿入して聴覚障害者情報文化センターに納入 |
5月 3日 | 国連障害者権利条約が発効 |
6月 1日 | 全ろう者(重度の聴覚障害者)の自動車運転免許取得が可能になる(ワイドミラーと聴障者マークの装着が条件) |
11月16日 | 県立聴覚障害者センター主催の「男性の自立のための料理教室」を開催 |
2009年(平成21年) | |
3月15日 | 県協会評議員会・理事会において串間市協会の解散が承認 |
4月 | 公立学校で県予算により要約筆記による授業サポートが開始 |
4月19日 | 宮崎県盲ろう者友の会設立総会が開催 |
7月19日 | 全日本ろうあ連盟創立60周年記念映画「ゆずり葉」の県内初上映 |
7月25日 | 第15回九聴連高齢部幹部研修会を高齢部が主管開催 |
10月23日 | 第39回全国ろうあ婦人集会を女性部が主管開催(23~25日) |
2010年(平成22年) | |
1月17日 | 宮崎市聴覚障害者協会創立60周年記念大会が開催 |
2月26日 | 厚生労働省の「字幕付き映像作成機器整備事業」により最新映像作成機器をスタジオに配備 |
3月 7日 | 県立聴覚障害者センター主催の「男性の自立のための料理教室」を開催 |
6月22日 | 西部朝日福祉助成金によりオーバーヘッドカメラ(OHC)と液晶モニターを配備 |
2011年(平成23年) | |
5月21日 | 第48回全九州ろうあ者スポーツ大会を主管開催(21~22日) |
7月23日 | 第33回九聴連女性部幹部研修会を女性部が主管開催(23~24日) |
8月31日 | We Love コミュニケーション運動が終了(パンフレット販売数2,700冊、署名数12,454名) |
10月11日 | 第10回手話フェスティバルを宮崎公立大学講堂棟で開催 |
10月29日 | 県立延岡ととろ聴覚支援学校の閉校式が開催、83年の歴史に幕 |
2012年(平成24年) | |
2月19日 | 「聴覚障害者に対する災害対策のあり方研修会」を主管開催 |
3月22日 | 県立聴覚障害者センターに電光掲示板が整備される |
3月25日 | 第40回宮崎県耳の日記念大会を開催(都城市) |
3月31日 | 安藤豊喜氏がセンター所長を退職 |
4月1日 | 田中順子氏が第2代センター所長に就任 |
4月13日 | 県立延岡しろやま支援学校が開校 |
10月 8日 | 第11回手話フェスティバルを県立聴覚障害者センターを会場に移して開催 |
11月18日 | 県高齢部創立30周年記念大会・祝賀会を開催 |
2013年(平成25年) | |
1月 | 聴覚障害者に対する災害対策アンケートを実施 |
1月 | 「手話でGo!」パンフレットを県内で無料配布開始 |
1月25日 | 宮崎県より携帯型貸出用磁気ループが配備 |
7月 | 参議院宮崎県選出議員選挙比例区の政見放送で、手話に続き字幕付与が実現 |
2014年(平成26年) | |
3月14日 | 宮崎市議会で「手話言語法の制定を求める意見書の提出を求める請願」が採択第1号 |
3月30日 | 「意思疎通支援事業(手話奉仕員・通訳者養成)の県内実施に関する研修会」を宮崎県の委託を受け開催 |
7月 4日 | 第20回九聴連高齢部幹部研修会を高齢部が主管開催 |
9月18日 | 「手話言語法の制定を求める意見書の提出を求める請願」運動で県・市町村議会採択100%を達成 |
11月16日 | 県女性部創立50周年記念大会・祝賀会を開催 |
2015年(平成27年) | |
2月11日 | センター創立20周年記念式典&第13回手話フェスティバルを県立聴覚障害者センターで開催 |